「チクチク痛くて見た目も気になるし、めっちゃテンションが下がる」
「痛いというか違和感がずっとある」
「不快です」
「マジでつらい」
これらは、ヘルペスに苦しんでいる人たちの声です。
ヘルペスは唇や目の回りに水膨れができ、それがチクチクと痛むのが特徴。
見た目でもはっきりと肌の病気とわかるので男性はもちろん、女性にとってはメイクにも影響がでるので深刻な悩みです。
これからの季節はヘルペスに苦しむ人が多くなります。
症状を薬で治すことはできますが、ウイルスそのものは退治できない。
そんなやっかいなヘルペスの専門家、中野皮膚科クリニック院長 東京慈恵会医科大学皮膚科非常勤講師で医学博士松尾先生が教えるヘルペス再発の原因とその予防方法を紹介します。
そもそもヘルペスとは?
ヘルペスはヘルペスウイルスの総称で1つのウイルスの名前ではありません。
人の皮膚に水膨れをつくるヘルペスウイルスは3種類です。
・単純ヘルペスウイルス1型
・単純ヘルペスウイルス2型
・水痘・帯状疱疹ウイルス
単純ヘルペス1型は多くの場合、顔にでて唇や目の回りに水膨れをつくり再発を繰り返します。
単純ヘルペスウイルス2型は主に性器や臀部など下半身に症状が現れます。
本当は怖いヘルペスウイルス
まれにですが、目の横にできる場合、角膜炎になり人によっては視力が落ちたり、脳にウイルスが侵入して脳炎になることもあります。
脳炎になると最悪死亡するケースもある怖い病気なんです。
ヘルペスの感染率は?
症状がでないから自分はヘルペスに感染していないと思ってしまいますが、じつは驚くほど多くの人が感染しています。
30代で約半数、40代で7割以上、60代ではなんと9割近くの人がヘルペスに感染しています。
(出典 日本皮膚科学会「各年齢における抗単純ヘルペス抗体保有率」)
自分がヘルペスに感染しているのを知らない人が結構いるということです。
なぜ、こんなに多いのでしょう。
ヘルペスはどうやって感染する
ヘルペスは唾とかの接触で移ります。
小さい頃から両親や祖父母から口移しで食べ物をもらったりして移っているひとが結構います。
感染しているけど、症状がでていない状態の人が多いんです。
いままで、でたことがないからといって安心はできません。
いつ出てもおかしくないんです。
ヘルペスは身体のどこに隠れているのか
顔には目、上あご、下あごに向けて3本に枝分かれしている三叉神経があります。
単純ヘルペス1型は3本の神経がぶるかる神経節という太くなった部分に潜伏してじっとしています。
普段は悪さをすることなく、おとなしくしているんですが、あるきっかけでその数を増やしていきます。
ヘルペスを体内からなくすことはできないのか?
なくす事はできません。
神経節に潜伏感染しているウイルスを殺そうとすると、神経細胞を一緒に壊さないといけません。
身体に危険があるので、そういう薬剤はありません。
1度感染すると、生涯つきあっていかないといけないやっかいなウイルスです。
ヘルペスの症状が現れるきっかけは?
・仕事が立て込んで忙しい。
・接待続きで胃腸の調子が悪い。
・風邪をひいている。
・花粉症と生理が一緒になったとき
このように身体が弱っているときにヘルペスの症状が現れます。
共通することは?
免疫力の低下です。
神経節に潜伏しているヘルペスウイルスは普段、悪さをしないよう身体の免疫細胞が監視しています。
そのため、宿主が元気で免疫力が高いときは発症が抑えられていますが、睡眠不足や疲労、体調不良で免疫力が低下するとヘルペスウイルスが増殖します。
増殖したヘルペスが移動する
増殖したヘルペスウイルスは神経を這うようにして皮膚へ移動します。
そうして目や鼻、口などに着くと水膨れをつくります。
水膨れが完全に消えるまで1〜2週間ほどかかります。
水膨れがなくなったからといってヘルペスウイルスが死滅したわけではありません。
ヘルペスは再発を繰り返す
ヘルペスウイルスはふたたび神経節へともどり、次の機会を狙ってじっと身を潜めます。
そうして、宿主の免疫力が落ちると再び増殖し、口や目の周りに移動をはじめます。
ヘルペスは何度も再発を繰り返す怖い病気なんです。
水膨れの症状が出る前にピリピリっとして痛みがでますが、これがヘルペスの特徴です。
紫外線に要注意
ヘルペスの症状は春から夏によく現れます。
原因は紫外線です。
紫外線は免疫力を下げる作用があります。
皮膚表面にはランゲルハンス細胞という免疫細胞の司令塔のような細胞がいます。
このランゲルハンス細胞は紫外線に弱く、強い日差しを浴びるとダメージを受けてしまうんです。
すると免疫細胞がうまく働かなくなり、その結果皮膚表面でヘルペスウイルスが増殖する結果に。
ゴールデンウィークの旅行疲れや、紫外線が強くなってくるこれからの時期は、毎年ヘルペスに苦しんでいる人はもちろん、いままでヘルペスが出たことがない人も安心はできません。
ヘルペスを再発させない
ヘルペスは1度感染すると全滅させることはできません。
水膨れが治ったからといってヘルペスが身体からいなくなることはないんです。
再発させないためには免疫力が低下しないように健康的な生活をすること。
再発防止のカギは免疫力なんです。
免疫力アップ法!
ヨーグルトや納豆などの発酵食品
乳酸菌や納豆菌で腸内環境を整えることです。
腸内環境が良好なら免疫細胞が活性化します。
お風呂の温度は41℃
41℃の温度は副交感神経が優位になります。
副交感神経が高まると免疫機能が高まります。
紫外線に注意
紫外線による肌の免疫力低下を防ぎ、ヘルペスの再発の防止しましょう。
日差しが強い日は外出する時に日焼け止めクリームを塗るなどの対策をしてください。
ヘルペスになったときお化粧は?
女性がヘルペスで口の周りに水膨れができたりしたら、化粧で隠したくなりますよね。
お化粧をすることは悪いというわけではありませんが、化粧を落とす時に注意が必要です。
水膨れが破れたりかさぶたが取れることがあります。
水膨れの中にはウイルスがたくさんいます。
潰すことによって、水膨れの中の液体が他の場所につくと、ウイルスが拡散することがあります。
ヘルペス感染は血液検査でわかる
いままで1度もヘルペスがでたことがないからといってヘルペスに感染していないとは限りません。
ヘルペスウイルスに感染しているけど口や目のまわりに水膨れなどできたことがないというのは珍しいことではないんです。
気になるなら病院で検査してもらいましょう。
血液検査でヘルペスウイルスに感染しているかどうかが分かります。
感染していたら、陽性反応がでます。
まとめ
ヘルペスは1度感染するとずっと身体の中にいるウイルスです。
健康で元気なときはじっとおとなしくしていますが、元気がなくなると悪さをするウイルスです。
ヘルペスの症状がよくでるようなら、それは免疫力が下がっているというサインでもあります。
免疫力の低下はヘルペスだけではなくさまざまな病気の引き金になりますから、普段の生活の見直しが大事です。
発酵食品を積極的に食べて、腸内環境を整え、41℃のお風呂で副交感神経を優位にして免疫力を高めましょう。
外出のときは長時間日差しに当たらないように注意し、日焼け止めを活用しましょう。
そしてストレスをためないこと。
ヘルペスの症状が出た時には、家族や周りの人への感染防止のため、タオルや食器の併用をさけるようにしましょう。
不幸にも症状がでてしまったら、病院にいき早めの治療を心掛けてください。