ネット上での人権侵害が急増しています。
2012年が671件だったのに2017年は1909件とこの4年間で約3倍に増えています。
問題になっているのがデマの拡散とネット上での中傷です。
2017年6月、東名高速道路上での夫婦死亡する事故がありました。
進路妨害で逮捕起訴されたのは建設作業員の石橋和歩(26)容疑者。
この容疑者と名前が同じで住所も近かったためにいわれのない誹謗中傷被害に傷ついた人がいます。
被害にあったのは北九州の建設会社「石橋建設工業」社長の石橋秀文さん。
一日100件超の中傷と脅迫電話により業務ができなくなり会社を休業。
10月下旬、警察に被害届けを提出、ウソの情報の拡散と中傷で拡散したとされる対象者が一斉に家宅捜査を受けることになりました。
一体、なぜ間違われたのでしょう?
石橋という名字と建設会社
ネット上で容疑者が逮捕された翌日から憶測の書き込みがネット上にでてくるようになります。
たまたま、名字が同じ石橋だった建設作業員の容疑者の住所と会社の住所が近かったことからの勝手な憶測。
いわゆる、社長の息子だ。
容疑者の勤務先だ。
さらに、ご丁寧にも会社の住所や地図、電話番号も書き込まれます。
嫌がらせ電話が一日中鳴りっぱなしの事態で仕事ができない状況になっていきます。
昼間だけでなく、深夜12時や早朝3時にもかかってきました。
電話の内容は
石橋社長いわく、ほとんどが罵倒。
私は関係ありませんと言った瞬間「ウソをつくな」「隠すつもりか」から始まり「若いもん連れていくぞ」「極道なめんなよ」などの罵詈雑言の雨嵐。
中には問い合わせみたいな電話もありましたが、石橋社長の説明に納得してくれるのはせいぜい2割、8割以上が罵倒してきたといいます。
事件とは関係ないことを説明するため仕事の関係先にも出向いていきます。
なにより、石橋社長は誰だかわからない相手から家族に危害が加わったらと考えると怖かったといいます。
ネット中傷、書き込む側の心理とは
実際にネット上に中傷を書き込んだのは19才の青年。
ある弁護士がこの青年に書き込む理由を聞くと、相手に対して特に憎しみなどの思い入れはないという回答。
イヤなことを忘れるため投稿に没頭し、相手の反応を見るのが目的というお粗末な動機です。
書き込む人間の共通点は
「ゆがんだ正義感」
人を誹謗中傷することに対する「罪の意識」が薄く、罪になることもよく分かっていない人が多い。
たんなる憂さ晴らし程度の軽い気持ちでやっています。
自分のことが相手にはわかることはないから、どういう迷惑や苦痛をおよぼすのか考えもしない。
中傷はどんな罪になるか
ウソの情報で他人の名誉を傷つけるのは名誉毀損にあたります。
書き込んだだけでなく、書き込んだ内容を拡散しても名誉毀損になります。
警察が悪質と判断した場合は「脅迫罪」の適用もありえます。
他にも、脅迫罪、威力業務妨害も適用になり、罰金だけではなく刑務所入りになることもあります。
ウソの情報を拡散されたらどうしたらいいか
まずは、サイトの管理者などに書き込みを削除してもらうことです。
そして、すぐに警察に相談しましょう。
しかし、現実は拡散と削除のイタチごっこになり、全てを削除するのは困難。
被害にあった石橋さんの書き込みも、いまだに消えていないサイトがあるといいます。
だれでもインターネット上で情報を発信できる今、報道の自由と規制のあり方が問われています。