世界の医療を変える革命的研究とは?
それは腎臓の再生。
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の横尾医師が腎疾患患者に希望をもたらす研究を発表しました。
腎臓とは?
腎臓は尿をつくって老廃物を体外に排出したり、体内の水分量を調節するなど様々な役割を持つ臓器です。
腎臓が働かなくなると身体の中の老廃物を人工的に排出する人工透析を続けるか、他から腎臓を移植する腎移植のどちらかしか選択肢はありません。
腎臓再生の高いハードル
腎臓は臓器のなかでも非常に複雑は構造をしています。
たとえば心臓であれば収縮する心筋細胞を貼付けるとか、網膜であれば網膜細胞シートをつけることで再生が可能です。
腎臓そのものの再生が必要
腎臓の再生で難しいのが尿をつくる機能を持たせることです。
全身の血液をろ過する機能を持つ構造体がなければ、尿をつくることはできません。
そのためには臓器そのものをまること再生しなければならないのです。
ある気付き
われわれは2つの腎臓を持っているわけで、この2つの腎臓は自分たちが1個の受精卵から生まれてくるまでの間に作られている。
それならば、このプログラムを借りたらどうだろう。
それが最初のコンセプトでした。
再生の鍵を握る細胞
まず、患者のips細胞から腎臓のもととなる細胞を作ります。
しかし、このままでは腎臓になることはありません。
そこで利用したのがほ乳類の胎児の細胞でした。
その働きは
ほ乳類の胎児の中には腎臓へと成長するよう指令をだす細胞が存在します。
その細胞を利用しmips細胞からつくった腎臓の素へ成長しなさいという指令を送らせます。
その指令を受けた腎臓を素の患者にもどすことで100%人由来の腎臓へと成長するというものです。
動物実験ではすでに成功しています。
腎不全になると日常生活におおきな支障が
一般的には1回4時間人工透析を週3回行なわなければいけません。
また、水分摂取や食事の制限がつきまといます。
海外へ行くことはもちろん、国内で遠方ににいくにも制限を受けます。
日常生活だけではなく、仕事にもかなり支障をきたし、場合によっては職を失うことにもなりかねません。
患者数は世界一
人工透析患者は増加傾向にあり日本国内で33万人いるといいます。
この患者数は世界一です。
また透析患者のうち1万人以上が腎移植を希望するも、ドナー不足で受けられない
こうした厳しい現実のなか、横尾医師が研究で腎臓再生という第3の選択肢を開こうとしています。
ある少女との出会い
27年前のことでした。
当時、研修医だった横尾医師は小児科で先天性の腎不全をもつ7歳の少女を担当することになります。
少女は自分が担当する初めての患者でした。
食べたいものを食べることができない
少女は小さい子供ならだれもが食べたいであろうアイスクリームも食べることができませんでした。
症状の病状は日に日に悪化し、当時の医療技術では苦しさを和らげる事もできませんでした。
その少女は横尾医師が初めて死亡診断書を書いた患者となりました。
いつか必ず
こんな小さな子供たちまで苦しめてしまう病気があることを目の当たりにします。
ここから横尾医師の研究が始まりました。
再生医療という言葉さえなかった時代です。
研究に取り組んでから20数年。
夢のまた夢のような研究はようやく現実のものになろうとしています。
まだまだ越えなければいけない山はたくさんあるので、一概には言えないが少なくとも5年以内には日本国内で始めたいと横尾医師は語ります。
1人の女性の夢
先天性肝疾患の合併症で腎不全を発症した36歳の女性がいます。
6年前から、1回3時間かかる人工透析を週に3回行なっています。
彼女の夢はハワイとか北海道とか行きたいところに自由にいけるようになることです。
腎臓疾患で苦しんでいる患者に未来への希望をもたらす腎臓の再生。
その日はもうまもなくです。