西川史子さん曰く「本を読むヒマがあったら会社経営者と合コンするわ」
太田光代さん曰く「本なんかより、もっとお金儲けの話ないの?」
先日文芸誌新潮4月号に芥川賞受賞作家のお笑い芸人又吉直樹に第2作が掲載されました。
販売を見込んで、通常なら初版1万部の文芸誌としては異例の4万部の増版。
また、書劇的なタイトル「夫のちんぽが入らない」がAmazonの文芸部門で第1位になっています。
とはいえ、本全体では販売額は減少、読書離れは確実に進んでいる。
そこで、短時間でも楽しめる本を有吉ジャポンで紹介。
いわゆる、ながら本。
「〆切本」「ブスの本懐」「腐女子のつづ井さん」「休日ジャンクション」「渡部流 いい店の見つけ方」「悪女について」「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」
そこで選考委員長有吉が選んだスタジオ騒然のながら本とは?
推薦者の顔ぶれ
文学界で最も意識の低い文学賞ともいえるこの賞にふさわしい本の推薦者は、
おすすめ本を自身でも書いているライムスターの宇多丸さん。
自称芸能界一の漫画オタク、ハライチの岩井さん。
おネエの脚本家でコラムニストのエスムラルダさん。
GQ JAPAN編集長の鈴木正文さん。
そして西川史子さんと太田光代さん。
「〆切本」
左右社
ライムスター宇多丸さんの推薦本
サブタイトルが、拝啓、〆切に遅れそうです。どうしても書けぬ。あやまりに文芸春秋に行く。
推薦の理由は、文豪たちのダメダメな言い訳ぶりが面白い!
その内容は、夏目漱石、江戸川乱歩、星新一、村上春樹、西佳奈子など様々な作家さんの〆切りをめぐるエッセイとか書簡をまとめたものです。
その内容を少し紹介。
作家は夏目漱石。
彼は随筆「読書と創作」のなかで、買い始めると筆は早くもなし、遅くもなし、まず普通というところであろうと書いています。
また、原稿は1度書いたままで後にテニヲハの訂正をするくらいのもの、遅れたことはまずないということです。
まあ、夏目漱石ならそうだろうなと思いますが、この後に漱石が俳人の高浜虚子にあてた手紙を紹介。
その中には、十四日にしめ切ると仰せあるが十四日にはむづかしいですよ。十七日が日曜だから十七八にはないましょう。
そう急いでも詩の神が承知しませんからね。
天神様も見放したと見えて少しもかけない。いやになった。
随筆では立派なことを言ってるのに、私的な手紙ではめちゃめちゃ見苦しい言い訳をしているんです。
もう1人、大岡昇平。
ラジオ番組のインタビューを息子さんが受けた時、お父さんのような小説家になりたいですかと聞かれ、眠いのに起きるのが嫌です。だからなりたくないですと返答。
その返事に、じゃあ、お父さんのように徹夜で原稿を書くのが嫌なんですね?と問いかけると、それもそうですけど、始終、嘘をついて謝ってばかりの仕事なので嫌です!という返事。
大岡昇平さん、息子さんにそんなことをいわれてショックだったようですが、実際、自分はぎりぎりにならないと原稿が書けない。で、やれ腹が痛いだの、客が来たのと幼稚な言い訳をしているところを見られていたのだなと話を書いています。
「ブスの本懐」
太田出版
著者 カレー沢薫
エスムラルダさんの推薦本です。
推薦の理由は、ブスのあるあるだけで一冊が書けるとは!という内容のおもしろさ。
目次の見出しを拝見すると、
「美人は3日で飽きるがブスは3日で慣れる」はブスが考えた言葉。
ブスにはブスの戦いがあり、脳内でマウンティングする
これに対して、周りの人はブスはブス同士仲良くしろよと思うかもしれないけど、脳内でお前よりはオレの方がましだと思っているというコメント。
諦めていないブスにとって、4月はまととないビッグチャンス
ブスはブスであること以外、何も続かない
「最近の男ってマジ草食系〜」と言ってる女は、ほぼブス。
これらに対するエムスラルダさんのコメントがすごい。
ブスは語彙力だけどんどん発達するのでいろんな名言を生みだす。
周りの人はブスはブス同士仲良くしろよと思うかもしれないけど、脳内でお前よりはオレの方がましだと思っている。
もう味もフタもない言い方。
まあ、自分はブスだと思っている人たちにとっては、痛い痛いってなるんだけど、でもまあ、ばっさり切られてちょっと気持ちいい。
で、自分を美人だと思っている人にとっては、こうゆう生き物も世の中にいるんだなという本ということです。
「腐女子のつづ井さん」漫画
著者 つづ井
KADOKAWA
ハライチ岩井さんの推薦本です。
腐女子の生態を描いて累計20万部突破の人気漫画です。
推薦の理由は、今、タラレバ娘が流行っているが、それのボーイズラブ好きの腐女子版ということ。
どんな内容かと言えば、つづ井さんが好きなキャラクターの身長を調べていって、あ、これぐらいなんだなとどんどん壁に貼っていって、気付いたら朝になっていたという話。
また、ブルーレイになってもキスせんのかいという話の内容は、テレビシリーズのアニメを見てて、男の子と男の子同士がテレビアニメの中でキスしなかったというくだりがあって、そのアニメのブルーレイを買って見て、なんだい、ブルーレイになってもキスしないのかいというオチの話。
岩井さん曰く、当たり前だろという話だけど、結構ハマるということです。
この話を聞いた太田光代さん「ちょっと、頭おかしいんじゃない。理解できない」のコメント。
「休日ジャンクション」漫画
著者 真造圭伍
小学館
推薦者はライムスターの宇多丸さん。
その中の1つ、「家猫ぶんちゃんの一年」は猫を猫として描いた、ちょっと心打たれるショートストーリー。
ここで言うとネタバレになるので、興味がわいたら本を手に取ってくださいね。
「渡部流 いい店の見つけ方教えます」
著者 渡部建
文芸春秋
推薦したのは西川史子さん。
西川さん曰く、究極のながら本。
どこから読んでもいいし、どこでやめてもいい。
人生にとってなんのプラスもマイナスもない本だけど、入院していたとき、入院食しか食べれないので、退院したらこんなもの食べようという楽しめた。
ちなみに、退院のとき病院に置いてきたそうです。
有吉さんに言わせると、本当に渡部が行きたい場所はこの本には載っていない。
それに答えて、西川さんが一言、渡部さんだと、あんまりはずかしい店は紹介できない。本当に行きたいところは載せていないかもしれないけど、その次くらいはのせていると思う。
「悪女について」
著者 有吉佐和子
新潮社
太田光代さんの推薦本。
謎の死を遂げた女性実業家の実像を彼女に関わった27人にインタビューで浮かび上がらせる長編小説です。
太田光と知りあったときに、私のバイブルといって渡したものの、いっこうに読まない。
半分ぐらいは読んでよと説得を続けて十何年。
ようやく読んだと思ったら、今度は悪女について語るわ語るわ。
全部自分のものとして語るので、いい加減頭にきて、私に紹介されたぐらいの事は言いなさいよといった本ということです。
「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」
著者 西垣 通
中央公論社
鈴木編集長の推薦本。
推薦の理由は、「私は難しい本しか読みません」
2045年に人工知能が人間に知能の凌駕して、そうすると人工知能が人工知能を開発するからとんでもないことになるということがいわれているが、それはインチキだということを書いている本
知能というのは単なる情報の集積ではないということがポイント。
そういう難しい話を鈴木編集長が淡々と続けていると、有吉は話しには耳を傾けずに本をじっと見ている。
話を聞いての突っ込みに、ながら読みに最適ですよと絶妙のコメントで返していました。
「定本 ヒッチコック 映画術 トリュフォー」
著者 フランソワ・トリュフォー
晶文社
ライムスター宇多丸さん推薦の本。
宇多丸さんは、中学の時にこの本を呼んで、映画っていうものを分析的にみたりするってこんなに面白いのかというのをこれで知ったということです。
全世界の有名な映画監督もこれで映画の面白さを知った有名な本。
この本がでるまでは、ヒッチコックはなんにも残らない娯楽作をつくる軽い監督と思われ、アメリカでは全く評価されていなかったが、フランスの若き評論家たちが、ヒッチコックはすごいんだと評価していくことで、ある意味映画の見方が変わった本だということです。
たとえば、ダイヤルMを廻せ!という映画では、主演のグレースケリーが冤罪をかけられた容疑者の役、最初のほうに着てたドレスとだんだん色を変えていって演出したんだというようなことが書かれている。
そういうふうに着てる服の色とか、他の映画でも注目してみようとかと思う
それを聞いていた有吉さんが「せめてこれぐらいの本を読んでから映画撮れよ、タレント監督!」ということですねと強烈なつっこみ。
それに対して、「ただね、撮る才能はまた別だったりする。タケシさんとかは本当に桁違いだと思う、たけしさんは桁違いと宇多丸さんは必死にフォローしていました。
第1回ながら本大賞に選ばれたのは?
審査委員長の有吉が選んだのは、「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」
選んだ理由は、「読んでたら気が遠くなって丁度いい本、いろんな事を考えなくて済む本」という、有吉さんらしいオチでした。