アニサキスが生きたまま胃にはいると、もがき苦しむほどの激痛に襲われます。
痛みで朝まで眠れない。
死ぬんじゃないかと思うぐらい痛かった。
出産の時より痛い。
思いだすだけで顔がゆがむほどの激痛。
聞いただけで身の毛がよだつおそろしい胃の痛みの原因はアニサキスという寄生虫。
寄生虫アニサキスとは?
およそ160種類の魚介類に潜んでいる体長2〜3㎝の虫です。
本来は魚の内臓に住み着いていますが、魚が死ぬと内臓から身の部分に移動します。
私達が刺し身などで食べる部分です。
それを生きたまま食べてしまうとこの寄生虫が胃壁に頭を突き刺します。
胃壁の突き刺さるんです。潜り込むといってもいい。
これをアニサキス症といい激しい胃痛や嘔吐などの症状を引き起こします。
アニサキス症が急増!
そんな恐ろしいアニサキス症の発生件数がここ10年で20倍に増えているといいます。
厚労省のデータによると2016年で130件ほどの発生件数。
何故、アニサキス症が激増しているのか。
そこには、ある事が関係していました。
国立感染症研究所寄生動物部第二室の杉山先生いわく、2012年末に法令が改正されたことが一番大きな原因だということです。
食品衛生法の改正でアニサキス症は保健所への報告が義務づけられるようになりました。
つまり、2012年までは報告義務がなかったので正確な件数がわからなかったというわけです。
アニサキス症のリスクが高くなったわけではありません。
アニサキス症の激痛には個人差が?
寄生虫のアニサキスが胃壁に噛みついたら誰でも激痛に襲われるということではないようです。
症状が重い人もいれば、軽い人もいる。
人によってはアニサキスが胃に潜り込んでも痛みなどの症状がなく、気付かないまま、数日後には胃から離れ便と一緒に排出します。
アニサキス症の痛み原因は他にある?
じつは、アニサキスが胃壁を刺す痛みだけではなく、アレルギー反応が痛みの原因だといわれています。
つまり、激痛は花粉症などとおなじアレルギー反応から起こるものなんです。
そのため、アニサキスは加熱や冷凍(24時間以上)で死滅しますが、死滅したアニサキスでも症状が出る人もいます。
本当は怖いアニサキスアレルギー!
胃壁に突き刺さるアニサキスを取り除けばアニサキス症による痛みから開放されますが、人によってアレルギーが発生します。
アニサキスアレルギーといい、主な症状は、まず魚介類を食べるとじん麻疹や呼吸困難になります。ひどい場合は失神することもあるといいます。
前述したように煮たり焼いたりの加熱調理や24時間の冷凍処理をすればアニサキスは死んでしまいますからアニサキス症を起こすことはありません。
しかしアレルギーはアニサキスだけが原因ではなく、アニサキスをつくるたんぱく質がアレルギーの原因になっているので加熱や冷凍処置でアニサキスが死んでも、完全にアレルギーを発症するリスクがなくなるわけではありません。
これはどうことを意味するかというと、アニサキスアレルギーを発症すると魚介類を一切口にすることができなくなるかもしれないということを意味します。
刺し身を安全に食べるために自分でできることは?
目で確認することです。
注意してみればアニサキスを見つけることができます。
お腹周りにはとくに気をつけましょう。
色合いが周りと違う部分があるのでそこを気をつけてみるようにしましょう。
アニサキスが潜んでいる場合は黒っぽく変色していたり、すこし黄色っぽく濁っています。
また白身魚やイカなどは光に透かしてみるとより見つけやすくなります。
しかし、透かしてみたらアニサキスが見えたとなると、まず食べる気はしなくなりますが……。
アニサキスが人目でわかる装置がある
年間130件という数字を多いとみるか少ないとみるか。
日本人がたべる刺し身や寿司の年間消費量を考えるとそう神経質になる必要はないのではと思います。
自分で釣った魚をさばいたりした時やいかにも素人のような人が包丁をいれているお店などは注意が必要かもしれませんね。
お店によってはアニサキス検査装置のi-Spectorなるマシンを導入しているお店(東京都渋谷区の磯丸水産渋谷新南口店)もあります。このマシンに切り身を入れ特殊な波長のライトで照らすとアニサキスが依存でいる場合、そこだけが青白く発光します。
アルバイトの店員さんが多いところなどはこういう対応がこれからは必要になるのかもしれません。
まとめ
アニサキス症やアニサキスアレルギーで苦しまないために私たちにできる一番の対策はなんだと思いますか。
それは、食べるときよく噛むことです。
何度も噛んでから飲み込むようにしましょう。
つまり、アニサキスをかみ殺してから飲みこむということですね。
死んだアニサキスが胃壁に突き刺さることはなく、結果アレルギーを引き起こすこともありません。
よく噛んで食べることには消化を助けるだけではなく、こんな予防効果があるんです。