春など季節に変わり目に体調を崩しやすくなっていませんか?
なぜか、季節の変わり目に体調を崩す人が多くいます。
その原因とされるのが寒暖差による疲労です。
昼はぽかぽかでも朝晩はぐっと冷え込む日が多いのが春。
去年のデータによると気温差の最高は14℃。
日中は21、5℃で、朝晩は7、4℃という気温差。
これ4月の東京で記録した気温差です。
実はこの時期は1年のうちで最も寒暖差が激しい時期なんです。
このような寒暖差に身体がついていけずに体調を崩してしまいます。
10℃以上の寒暖差があると疲れを覚える人が増えてきます。
意識調査によると9割以上の男女が不調を感じています。
そうならないためにどうしたらいいのか。
「健康カプセル!ゲンキの時間」の中で、東京有明医療大学保険医療学部鍼灸学科教授、医学博士川島朗先生が教えた体調を崩す原因と寒暖差疲労を予防する3つの方法と紹介します。
なぜ寒暖差で不調を感じるのか
原因は活性酸素
本来、活性酸素は殺菌力が強く細菌などをやっつける働きがあります。
しかし、増え過ぎてしまうと正常な細胞まで攻撃する厄介な物質です。
また、活性酸素は身体を酸化させ老化を早めたり、病気など様々な害をおよぼします。
活性酸素が寒暖差とどう関係するのか
ある実験をしています。
室温が違う2つの部屋を用意。
1つの部屋は21、5℃。
もう1つの部屋は7.4℃。
これは去年、東京で記録した寒暖差が大きかった日の温度差です。
実験方法
4人の男女が実験に協力。
それぞれの部屋に15分間ずついる。
そうやって暖い部屋と冷たい部屋を2往復する。
これで身体にどんな変化があらわれるでしょうか。
4人はどれぐらい酸化したか?
身体の酸化度を計る器械で計測します。
その結果は、
実験の前は+32だった数値が実験後は+51に上昇。
他の3人も同じような結果に。
+42が+54
+18が+53
+20が+53
なんと全員、身体の酸化度が増加するという結果がでています。
なぜこんな結果が?
この結果には自律神経が大きく関わっているんです。
自律神経とは無意識のうちに身体の機能を自然に調整している神経で内臓などの働きをコントロールする神経です。
自律神経は2種類ある
交感神経
緊張状態で優位になる神経です。
副交感神経
リラックス状態で優位になる神経です。
この自律神経が乱れやすくなるのが、寒暖差の激しい春なんです。
自律神経の働きは?
寒い場所では交感神経が優位になります。
暖いところでは副交感神経が優位になります。
そうやって体温を調節する働きがあるんですが、寒暖差が激しくなるとそれが大きなストレスになり、交感神経が優位に成りっぱなしの状態になってしまいます。
交感神経が優位な状態がつづくとどうなる?
交感神経が優位な状態が続くと活性酸素が増えます。
それが実験結果に現れています。
つまり寒暖差が激しい春は自律神経が乱れることで交感神経が優位になりっぱなしになり、その結果活性酸素が増加し、体調を崩しやすくなるんです。
気圧の関係
春は寒暖差以外にも自律神経を乱す要因があります。
それは気圧の変化です。
冬は安定していたのに春になると気圧がくるくる変わります。
ひんぱんに変わることで自律神経が乱れてしまいます。
ストレスも影響
環境の変化も自律神経に変調をきたします。
春は異動や転勤の時期、新しい環境に変わることがストレスになり、それが自律神経を乱す要因になります。
これらが原因で起こる症状
花粉症でもないのに鼻水がダラリ!
朝起きると、なぜだか鼻水がでて止まらない。
風邪かなと体温を測ると平熱。
しかし、ときどき昼夜を問わず鼻水が止まらなくなってしまいます。
もしかして花粉症?と思い、花粉症の症状を抑える市販薬を服用するも、効果なし。
これ、実際の患者さんの症状です。
鼻水が止まらない病名は?
だれもがこうなる恐れのある鼻水が止まらない病名は、血管運動性鼻炎です。
自律神経の乱れが原因として考えられる病気です。
通常、鼻の毛細血管は鼻付近の体温を調整するため、寒いと交感神経の働きで収縮し、暖いと副交感神経の働きで拡張します。
ところが、早朝など寒暖差を急激に感じると自律神経が乱れ正常に機能しなくなることがあります。
そうなると鼻水がでるなどの症状が現れるんです。
血管運動性鼻炎の特徴は?
・冷え込んだ夜の翌朝に症状がでる
・発熱がない
・目がかゆかったり、充血しない
・自律神経の乱れは様々の病気の元になる
・気管支喘息、アトピー性皮膚炎のようなアレルギーの病気が悪化する可能性がある
最悪、うつ病状態に!
たかが、寒暖差と軽くみていたらひどいことになってしまいます。
なんとうつ病になる可能性があるんです。
なぜうつ病状態になる?
緊張やストレスがかかり交感神経が優位になると脳を活性化させるドーパミンセロトニンが分泌され活動状態になります。
そんな時、寒暖差などのストレスが加わり限界を超えると、いきなりスイッチが切り替わることがあります。
それまでずっと交感神経が優位だった状態がいきなり副交感神経優位にかたむき、こんどもそのままもどらなくなってしまいます。
自律神経は180度ひっくり返る性質を持っている
ピークに達すると途端に副交感神経が優位になります。
しかも急激に。
副交感神経が優位になる状態では、頭の中でやる気を起こさせるドーパミンやセロトニンが一気に減少するため、うつ病とおなじような状態になってしまいます。
寒暖差に弱い人の特徴
・手足が冷たく感じることが多い
・熱中症にかかったことがある
・普段の生活が不規則
・お酒を週二日以上飲み、飲む量が多い
・ストレスや心配事を抱えている
生活習慣の乱れも影響
体質も関係しますが生活習慣も大きく影響します。
その代表はお酒。
酒の飲みすぎはなぜよくないのか
酒を飲み過ぎるとそれを分解するために余計なエネルギーを使ってしまうので、寒暖差の影響を受けやすい身体になってしまいます。
冷え性や熱中症の経験がある人は体質的に寒暖差に弱い傾向があります。
生活リズムが不規則になると自律神経が整いにくく不安定になるので寒暖差に弱くなります。
ストレスがかかりつづければ交感神経が優位になり続けてしまい、その結果疲れてしまい自律神経による調節が効かなくなってしまいます。
寒暖差に負けないためには?
自律神経のバランスとを整えることが大切です。
交感神経と副交感神経のどちらに切り替えれば良いかというと副交感神経です。
副交感神経が優位になると身体はリラックスした状態になります。
ストレスを溜めない
現代社会はストレスを受けることが多く、どちらかというと常に交感神経にスイッチが入っている状態です。
交感神経を緊張を高める働きがあるので、常に交感神経が優位な状態は身体が疲れてしまいます。
そうならないためには、日頃から副交感神経を優位にするように意識することが大切になります。
どうやったら副交感神経を優位にすることができるのか。
実はすぐにできて効果てきめんの方法があるんです。
副交感神経に切り替える3つの方法
1)目元温め法
1)指揉み法
1)腹式呼吸法
目元温め法
目の奥には動眼神経という目を動かす脳神経があります。
この動眼は副交感神経です。
動眼神経を刺激すれば、副交感神経にスイッチが入ります。
やり方
・タオルを水で濡らす
・軽く絞る
・電子レンジにいれ、500Wで約40秒温める
・それを目の上に2分間置く
昔の床屋さんではやってくれたサービスですね。
タオルは人肌より少し熱い40℃が適温です。
これだけで副交感神経に切り替わります。
女性にとってさらにいいことがあります。
実は眠る前にこれをやると、翌日のお化粧のノリが良くなります。
指揉み法
指の爪の生え際に井穴(せいけつ)という自律神経を切り替えるスイッチのツボがあります。
また、このツボを刺激すると身体が温まります。
身体の末端になる指先は動脈から静脈に切り替わるポイントです。
この部分の血行が良くなると心臓へと巡る血液の流れが活発になり、結果身体全体が温まることでリラックスします。
やり方
・爪の両側を指で強めにはさみ、グリグリッと左右にひねる
・指一本に対し、10〜20秒行なう
長くやればより高い効果を得ることができます。
しかし、ひとつだけ注意が必要です。
この井穴というツボは薬指以外の指が副交感神経に切り替わるツボです
薬指に注意
薬指だけは交感神経のスイッチになっています。
だから、リラックスしたいときには薬指を揉まないように注意してください。
逆にシャキッとしたい場合には薬指を揉むようにしましょう。
腹式呼吸
息を吐くことによって副交感神経を優位にするスイッチが入ります。
しっかり息を吐ききることがポイントです。
やり方
・両手をお腹の上に置く
・お腹と一緒に置いた手は上がるようにお腹を膨らませながら息を3秒間吸う
・つぎに、お腹をおもいっきり凹ませながら6秒間でゆっくりと息をはく
・3秒で吸って、6秒で吐く
吸う時はお腹を膨らませ、吐く時はお腹を凹ませることを意識してください。
根本的な対策は?
適度な運動
寒暖差に強い身体になるためには、適度な運動がオススメです。
適度な運動とは、自分にとってすこ〜しだけきつい運動です。
すこ〜しだけきつい運動とは?
・普段の1、5倍のスピードで歩く
・エレベーターやエスカレーターに乗らずに階段を使う
・電車やバスでは座らない
このようなちょっと面倒くさいな、イヤだなと感じることを普段の生活の中で少しずつ実行するようにしましょう。
まとめ
春の寒暖差による疲れをひきずると夏バテの原因になる可能性があります。
この時期の体調管理が夏を元気で過ごすにはこの時期の体調管理が重要です。
5月病にならないために
また、新入社員や新入生などいままでとは違う環境での生活は緊張を強いられストレスがたまる時期です。
するとつねに交感神経が優位な状態がつづき脳内にドーパミンやセロトニンが分泌されますが、ストレスや緊張が限界を超えると一気に副交感神経にひっくり返り、やる気を起こさせるドーパミンやセロトニンが急激に減少。
その結果、会社や学校に行きたくないという気持ちになってしまう恐れがあります。
いわゆる五月病です。
そうならないためにも、毎日の生活のなかで意識して交感神経優位の状態からから副交感神経優位に切り替えることが大切です。
適度な運動、目元温め法、指揉み法、呼吸法で、自律神経をコントロールするようにしてください。