鉄分が不足すると普通は食べないものが無性に食べたくなる!
砂場の砂を食べる
冷凍庫を開けては大量の氷をがりがり食べる
これらは、ストレスなどによる精神疾患が原因として考えられてもいますが、多くの場合、鉄分が足りていないからあらわれる症状です。
鉄分が不足すると普段は口にしない土や砂などを食べようとします。
氷をがりがり食べるのも同じく鉄分不足から起こる症状です。
この症状は妊娠中の女性に多くみられ、氷食症といいます。
なぜ、鉄分が不足するとそんなものを食べたくなるのか?
「健康カプセル!ゲンキの時間」で放送された、異食症の原因と改善策を紹介します。
この記事に書かれていること
何故、砂や土、氷などを食べたくなるのか?
貧血による鉄分不足が原因です。
「鉄欠乏性貧血」といいます。
奈良先生いわく、幼児期の子供によくみられ、典型的なものでは砂場にいって砂を食べたり、釘をかじったりするということです。
そういう行為を「異食症」といいます。
氷を大量に食べることを氷食症といいます。
わたし、土を食べていました
子供は貧血で鉄分が不足すると土や砂を食べるという順天堂大学医学部の奈良先生の説明を聞いた滝裕可里さんの一言。
衝撃の告白にスタジオ内が騒然!
なんでも、小学生の時に土を食べていたそうです。
友達に「今日も土を食べているね」とよく言われていたことを覚えていると言っていました。
自分では土を食べる事がそんなにおかしいこととは思っていなかったようです。
鉄分は子供の成長にとても必要なもの
子供は身体の成長がとても早いので、たくさんの鉄分を必要とします。
その鉄分が不足すると、身体が鉄分を欲しがりなんとなく鉄っぽいものを食べたくなるということです。
硬い氷を大量にがりがりと食べたくなることを氷食症といいます。
かじりたくなる理由はまだはっきりとわかっていませんが、氷のなんとなく金属っぽい臭いにひかれるのではと考えられています。
大人に氷を食べる人が多いのは、一般常識などが身に付くにつれ土や砂を食べるのはちょっとどうかなと無意識に自制心が働いているからかもしれません。
鉄分の働きとは?
血液に含まれる赤血球では、鉄分によってヘモグロビンが作られます。
ヘモグロビンが呼吸で取り入れた酸素と結びつき血管をとおり全身の細胞へ運ばれます。
また、ヘモグロビンは細胞が酸素を消費することで発生する二酸化炭素を肺へ運び、体の外へ押し出すという役割も果たしています。
体内の鉄分が減ってしまうとヘモグロビンも減り、その結果身体に必要な量の酸素が不足してしまい身体に悪影響がでてしまいます。
成長期には鉄分が不足する?
1日の鉄の必要量は年齢によって変わりますが、平均すると男性で7mg、女性で6、0mg(月経時は10、5mg〜)程です。
日本人女性50才未満の貧血の割合は22、3%とされ、女子中学生や高校生の3〜4割は鉄分が不足しているのではといわれています。
女性の場合、月経が貧血の一番の要因ですが、過度の偏食やダイエットも影響しています。
また学生はクラブ活動などの激しい運動でも鉄分を消費します。
陸上競技やバスケット、剣道のような足の裏で踏ん張ったり、踏み込んだりするスポーツは足裏の毛細血管が圧迫されることで出血したりする場合もあり、それが原因で鉄分不足になっていることがあります。
鉄分不足で貧血になると現れる症状は?
鉄分が不足すると、身体のだるさや息切れ、めまい、集中力や持久力の不足などの症状があらわれてきます。
そんな身体にとって大切な鉄分は、体内でつくることができないので食事から摂る以外に方法がありません。
毎日の食事の中で鉄分が豊富な食材を摂ることが重要になります。
鉄分を多く含む野菜とは?
野菜から摂ろうとするなら小松菜やパセリがおすすめです。
鉄分といえばほうれん草を連想しますが、ほうれん草には鉄分の吸収を妨げるシュウ酸という成分も多くふくまれています。
ほうれん草には鉄分の他にも優れた栄養素が含まれていますが、鉄分だけを効率的に摂ることを優先するなら小松菜やパセリがおすすめです。
しかし、野菜だけで鉄分を摂ろうとすると相当な量になりますから、動物性食物と一緒に調理すれば、美味しく効率的に鉄分を摂り入れることができます。
鉄分を多く含む動物性食物
動物性食物なら豚レバーや鶏のレバー、またはレバーペーストなどにもっとも多くの鉄分が含まれています。
マグロやカツオもおすすめです。
アサリや豆類、ひじきにも鉄分が多く含まれています。
また、ビタミンCは鉄分の吸収を良くする働きがあるので、食事の時にビタミンCがたっぷりのグレープフルーツジュースやオレンジジュースなどを一緒に飲むとより効果的に鉄分を摂りいれることができます。
鉄分の効率的な摂り方についてはこちらを参照してください。
鉄分の摂りすぎに注意!
鉄分の摂りすぎはよくありません。
摂取量の上限
成人男子:50mg(18〜29歳、50歳以上)、55mg(30〜49歳)
成人女子:40mg
鉄欠乏性貧血を治すため、一時的に多量の鉄分を摂るのはいいのですが、長い期間にわたって過剰に鉄分を摂り続けることはやめてください。
嘔吐、吐血、腹痛、下痢などの症状があらわれ、悪化すると肝硬変や脂肪肝などを引き起こす可能性があります。
サプリメントを利用する
必要な鉄分量を手軽に摂ることができるサプリメントを利用することも1つの方法です。
コップ一杯のスムージーで鉄分の他にもお子さんの成長に必要な栄養をお手軽に摂ることができます。
朝食代わりになりますし、お子さんが好む味なので抵抗なく飲んでくれると思います。
妊娠中の女性に多くみられる氷食症の改善にもサプリメントは有効です。
その場合は葉酸を多く含んだものを利用するようにしましょう。
人は土を食べていた
土はかなりの栄養を含んでいます。
マグネシウムやカルシウム、カリウムなどを含んでいるので、土を食べればミネラルを補う事ができます。
南米には粘土にはちみつと砂糖を混ぜたものをデザート代わりに食べる人たちがいます。
インドやアフリカ、ニューギニアにも、土を食べる人々がいます。
古代人や先住民は、土を食べると身体の中の毒素を排出させるだけでなく、痛みをやわらげ、傷の炎症を押さることを経験で知っていました。
薬の代わりとしても利用していたんです。
まとめ
異食症の原因としてうつ病などの精神疾患なども考えられていますが、脳に充分な酸素がいかないことがそもそもの問題なのかもしれません。
体内の鉄分が減ってしまうとヘモグロビンも減り、必要な量の酸素が不足して身体に悪影響がでてしまいます。
脳が酸欠状態になりうまく機能しなくなることも容易に想像できます。
砂場の砂に磁石を入れると、砂鉄がつきます。
土にも鉄をはじめ様々なミネラルが含まれています。
砂や土を食べたり、氷を食べるという普通に考えればおかしな行動も、足りなくなっている鉄分を無意識に身体が補うとしていると考えればなるほどとうなずけます。
毎日の食事を見直し、肉や魚、野菜をバランスよく組み合わせた食事を心掛けることが大切です。
外食中心やダイエットで栄養がかたよりがちならサプリメントなどを上手に利用して鉄分を補給しましょう。
鉄分はしっかり摂れているのに、土や砂、氷などを食べるようなら、一度病院で貧血の検査をして医師に診断してもらいましょう。
貧血の原因が別にあるのかもしれませんから。