家庭用磁気治療器などを販売していたジャパンライフが2017年12月26日に倒産しました。
負債総額は2405億円。
契約者数は約6600人。
その内の75%が75才以上で、一人暮らしの高齢の女性が多いことが特徴です。
老後の備えを失った被害者が弁護団を結成、詐欺罪などで刑事告発する事態に発展しています。
ジャパンライフとはいったいどのような会社で、どういう営業手法で顧客数を拡大していったのか。
グッドモーニング「明快!まとめるパネル」で放送された驚きの内容とは?
ジャパンライフとは?
創業は1974年。
会長は山口隆祥、前社長は山口ひろみ。
社員数700人超。
販売する高価格の商品?
家庭用磁気治療器を主に販売。
ほかにも化粧品や健康食品、布団に毛布などの寝具も販売しています。
ちなみに磁気ネックレスファイブピュアジュエールが100万円。
腰にまく次期バンドスマート次期バンドV型の価格は600万円。
驚愕の価格設定ですが、実際に売れていました。
どういう手段で販売していったのでしょうか。
ジャパンライフのビジネスの特徴は?
まず一般の契約者が商品を買います。
しかし、商品自体は買った人の手元に届くわけではありません。
購入した人が使うわけではないんです。
商品はジャパンライフが預かるという形をとります。
別の人にレンタルする
預かった商品をまた別の人にジャパンライフが貸し出し、借りたユーザーからレンタル料がジャパンライフに支払われるシステムになっているんです。
レンタル料の一部を購入者に還元
商品を購入した契約者にレンタル料の一部が還元されます。
配当金は年間で購入金額の6%程。
100万円の商品を買った場合、毎月5000円、年間で6万円が支払われるという仕組みです。
いわば100万円を金融機関に預けて年利6%の利息を手にすると考えれば、たかい利益が見込める運用方法といえなくもない。
月々の5000円は多くの場合、契約者のもとへは入らずジャパンライフに積み立てられるということになっていました。
購入させるために用意したもう一つの罠
解約したくなったらすぐに解約でき、商品購入代金も全額返済ということになっていました。
いわば、商品を買ったというよりも商品を購入した形で運用資金を預けるというもの。
これなら、100万円の磁気ネックレスを購入してもいいかなと思っても不思議ではない。
このビジネスのなにが詐欺罪なのか
高額は商品を販売するだけなら法律的にはなんら問題はありません。
刑事告発にいたった問題点は別にあります。
巨額の負債2400億円をあり配当金が払えないにも関わらす、それを契約者に告げずに商品を販売したところが詐欺罪にあたります。
さらに預託法違反も
商品を購入た契約者6600人であわせて約2万2000個の商品があるなずなのに、実際にあったレンタル商品は約2700個という少なさ。
これが事実ならば預託法違反に当たります。
ジャパンライフが契約者から預かっていた預託残高は1714億円ですが、負債を抱え2回の不渡りも出しているのに商品を契約者に売ってお金をもらい、そしてそれを貸しだすというようなことをずっと繰り返す自転車操業をおこなっています。
どんな風に契約者を増やしていったのか
愛知県の80代の女性の場合、友人でジャパンライフの会員から山にいこうと誘われます。
じゃあ、いきましょうと友人から連れていかれたのがジャパンライフの代理店。
この時は商品の説明などは一切なく、世間話で終わります。
女性と仲良くなることがジャパンライフの目的です。
優しく接する
その後、ジャパンライフの人が80代女性の家を訪れ、無料でマッサージをしたりして親密度を深めていきます。
そうやって頃合いを見計らって、いよいよ本題にはいります。
銀行に預けるよりもはるかに利回りがいいですよ、是非商品を購入しませんかと。
すでにたくさんの好意をもらっているので、女性はこの時点でなかなか断ることができない。
結局、この80代の女性は5年間で総額1億円分を購入しています。
一度契約したら継続させる様々な手段
契約の額に応じてポイントがたまります。
ポイントがたまるとパーティーに参加でき、超有名な演歌歌手の歌謡ショーなどが楽しめます。
ジャパンライフに紹介したお友達が会員になると、ポイントが増えたり割引などの特典があります。
パーティーで実演販売
2017年5月のパーティーでは山口会長自ら磁気治療器の実演販売を行い約36億円の新規契約をとっています。
有名な演歌歌手のコンサートで会員の感情をハイにさせ、財布のヒモを緩めておいて、これでもかと金を巻き上げるこの手の商法の典型的なやり方です。
解約できない
契約時には自由に解約できますよという内容ですが、これがくせ者。
実際に解約しようとするとエリアマネージャーと面談しないと解約できないといわれてしまいます。
さらに実際にエリアマネージャーに会った後も、3人の職員が自宅にきて解約しないよう説得してきます。
高齢の女性が自宅で3人の男に囲まれたら威圧感を感じて断るのは困難です。
天下りで行政処分が遅れた!
消費者庁の行政指導担当職員が天下りしていたことが発覚しました。
ジャパンライフを実際に行政指導していた課長補佐。
2015年7月にジャパンライフに再就職しています。
消費者庁に在職中から、ジャパンライフに対し「定年退職する」と私用の連絡先を伝えたり、経営者との面会を要求していたようです。
消費者庁の内部情報をジャパンライフに漏らしていた可能性があり、天下りがなければもっと早くに行政処分がなされ被害も拡大しなかったのではないかと問題になっています。
まとめ
人は誰かにものをもらったり親切にされると相手にお返しをしなければと思うところがあります。
これは世界共通のもので、返報性の法則といいます。
ジャパンライフに限らず、この手のマルチ商法まがいの会社はこの返報性の法則を巧みに利用し、律義な高齢者に営業をかけます。
高齢者の方も心のどこかではちょっと怪しいぞとは思いながら親切にしてもらったことに負い目に感じ、ことわりきれずに契約した人が多くいます。
タダで何かしてくれる人を、この人は優しいと勘違いしないことです。
悪巧みをする人に限って、一見優しそうで幸せそうな顔をしています。
そういう人が近づいてきたら、眉に唾をつけてだまされないようにしましょう。