実際の年齢よりも随分老けて見える人がいます。
逆に驚くほど若く見える人も。
その違いが明確に表れるのは肌。
肌の艶や張り、しわがあるかどうかで見た目年齢は大きく変わります。
おなじような生活をしているの何故、見た目年齢に差がでるのか。
その原因は糖化です。
糖化とは身体が焦げること。
酸化が身体の錆だとすれば、糖化は焦げです。
この糖化が肌の老化の原因として近年注目されています。
しかも、肌などの外見だけではなく、血管や骨の老化にもつながり、心筋梗塞や
骨粗しょう症など様々な病気の引き金になります。
知らないとみるみる身体が老化する糖化。
老化は気付かないうちに進行していきます。
何故、身体が糖化するのか。
その原因は食事にありました。
同志社大学生命医化学部糖化ストレス研究センター教授の八木雅之先生が教える糖化の仕組み、その悪影響、糖化防止レシピを紹介します。
そもそも糖化とは?
体内でたんぱく質と余分なブドウ糖が結びつきAGEという糖化物質を発生させることです。
これを糖化といいます。
AGEは老化を早める悪の根源とされているものです。
では糖化してAGEが発生するとどんな悪影響がでるのか。
それを見るために実験をします。
用意するのは豚の皮です。
糖化の様子を豚の皮で観察
ブドウ糖を混ぜた水と水だけをいれた容器を用意し、それぞれに豚の皮を入れます。
しばらくすると、ブドウ糖を混ぜた水に浸した方の豚の皮に明らかな変化が表れます。
さて、どのように変化したでしょうか。
豚の皮に驚きの変化が!
浸す前は白かった皮の色が茶色に変わりました。
水だけに浸した豚の皮とはあきらかに皮の色が変わっている。
さらに、変わったのは色だけではなく、触感にも変化が。
触って見るとブドウ糖の混ぜた水に浸した豚の皮のほうが硬くなっています。
触った感触はまるで木の皮を触っているよう。
これと同じようなことが私たちの肌でもおこっている可能性があるんです。
悪影響は肌だけではない!
豚の皮はたんぱく質でできています。
同じように私たちの身体もたんぱく質でできています。
ということは糖化すると私たちの皮膚ももおなじように木の皮のようになる可能性があるということです。
さらに糖化の悪影響は皮膚だけにとどまりません。
身体の内部にも良くないことが起こってきます。
骨の糖化
骨をつくるコラーゲンはたんぱく質の一つです。
たんぱく質であるコラーゲンが糖と結合すると骨本来のしなやかさが失われ、骨粗しょう症になる恐れがあります。
血管の糖化
さらに血管が糖化する血管の壁を傷つけると動脈硬化が進行し、狭くなった血管が何らかの原因で詰まってしまうと心筋梗塞など突然死のリスクが高くなります。
脳の糖化
さらにさらに、認知症の人の脳の中にはこういった糖化したたんぱく質が溜まっていることがわかってきています。
アルツハイマー型の認知症になっている人となっていない人の脳を調べてみると
アルツハイマー病の人の脳はそうでない人の脳に比べ3倍も糖化物質が多いといいます。
糖化の落とし穴とは?
血糖値
血糖値が高ければ体内に糖が余っている状態なので糖化が進行します。
血糖血が基準値範囲内の人も油断は禁物、要注意です。
朝食を抜く
朝食を抜いて昼まで何も食べないのは遅くなった昼食を食べた途端に血糖値がドンと急激に上がってしまいます。
この急激な血糖値の上昇を毎日繰り返し習慣化すると糖化が進んでいきます。
糖質が多く含まれた食べ物
また、麺類やパンなどの糖質の多いものは余分な糖が体内に溜まりやすくなるます。
昼食や夕食をカップラーメンや菓子パンだけですませるようなことを毎日続けるのはよくありません。
たまに食べるのはいいでしょうが、ほぼ毎日というのは糖化の危険性が高まります。
食べる順番
野菜や肉、魚、味噌汁などバランスの取れた食事でも、どういう順番で食べるかが問題です。
最初に野菜をとり、つぎに肉や魚を食べて、それからご飯や味噌汁にいく。
いわゆる懐石料理のような順番で食べていくと糖の吸収を抑制でき、糖化を防ぐことがわかってきています。
野菜から食べると食後60分ぐらいの血糖値は100ぐらいですが、ご飯や味噌汁、肉などを先に食べると血糖値が140ぐらいまで上昇します。
食事の際にはなんらかの野菜料理を用意して、それを先に食べることがポイントです。
運動不足
運動をしないので糖を燃焼しきれずに糖化物質がどんどん身体に蓄積されていきます。
余分な糖は燃焼することが重要です。
簡単にできて、糖を燃焼する効果が高い運動があります。
それはスクワット、膝の屈伸運動です。
身体の中で一番エネルギーを消費するといわれる大腿筋を刺激して糖の燃焼を促します。
やり方
まず手をグーにして、前にまっすぐ伸ばします。
その状態で踵をあげます。
踵をあげたまま、上下に屈伸運動をします。
これを1セット5回、朝・昼・晩の3セットするようにしましょう。
気が向けばもっと回数を増やして、余分な糖を燃やしてください。
睡眠不足
寝不足や徹夜は知らない間にストレスが溜まります。
睡眠は新陳代謝をあげ糖化物質を出してくれる効果があります。
できるなら、一日7時間は眠るようにしてください。
糖化防止が簡単にできる方法
お茶
緑茶に含まれるカテキンは糖化によって発生するAGEの生成を阻害する働きがあります。
食事のときなど、緑茶を飲むようにすれば効果的です。
緑茶に含まれるカフェインがちょっとというなら、緑茶と同じ作用が期待できるのでルイボスティがオススメです。
糖化度チェック
以下の項目で当てはまるものにチェックを入れてください。
□ 朝食を食べない
□ 早食い・食べ過ぎ
□ スイーツや甘いものが好き
□ 食事の時、ご飯から手をつける
□ 野菜はあまい食べない
□ 運動はあまりしない
□ 睡眠時間は6時間未満
結果はどうでしたか?
チェックが3〜6個の人は黄色信号、ぎりぎり踏みとどまっていますが糖化はどんどん進行している状態です。
6個以上の人は赤信号、いますぐ生活習慣を変える必要があります。
食事が重要
糖化の原因であるAGEは体内でつくられるものと外からはいってくるものがあります。
外から入るものとは食事です。
料理の中にすでにAGEが含まれているんです。
その多くは食べても体外に排出されますが、およそ7%ほどが体内に残ります。
AGE値は調理方法で変わる
AGE値は調理温度が低いほど値は低く、高温になるほど値が高くなります。
その順番は生・蒸す茹でる・煮る・炒める・焼く・揚げるの順番です。
生が最もAGEの値が低く、揚げ物が最も高い。
しかし、唐揚げやトンカツ、天ぷらなどの揚げ物や焼肉は毎日でも食べたいという人が多くいると思います。
そんなみんな大好き唐揚げや焼肉も、食べかたをちょっとだけ工夫すれば安心して食べられます。
ちょっとした工夫をすることで、糖化を気にせずに高温調理の揚げ物や焼肉を食べることができます。
唐揚げと焼肉のちょい足レシピ
唐揚げにレモンをちょい足し
糖化防止のポイントはレモンです。
レモンに含まれるクエン酸が糖の吸収をゆるやかにしてくれます。
唐揚げに絞ったレモン汁をかけるだけでも糖化防止になりますが、調理の過程でレモンを使う方法もあります。
揚げる前の鶏肉にレモン汁をかける
生の鶏肉にレモン汁にひたした肉は、通常の唐揚げの約半分までAGEの精製率が減少します。
また肉にしみ込んだレモンの酸味と香りが隠し味として唐揚げの味を引き立てます。
焼肉にちょい足しするのは?
ヨーグルトです。
ヨーグルトを加えると糖化を防ぐことができます。
ヨーグルトには食後の血糖値の上昇をおさえる働きがありますが、糖化も抑えることが最近わかってきました。
ヨーグルトのホエー部分(透明な上澄み部分)に含まれている成分が糖化を抑制します。
ヨーグルトを使った焼肉のおいしい食べ方
まず肉をヨーグルトにつけよくもみ込みます。
こうすることでヨーグルトの乳酸菌がたんぱく質を分解し、糖化を防ぐだけではなくお肉を柔らかくします。
普通にヨーグルトだけを食べるのも効果があります。
その場合がプレーンヨーグルトを食べるようにしましょう。
ヨーグルトに甘みが欲しいときや砂糖やはちみつではなく、キウイやレモン、イチゴ、グレープフルーツ、オレンジなどクエン酸を多くフルーツを加えることをおすすめします。
終わりに
人には実年齢と見た目年齢があります。
実年齢より10才以上老けて見える人がいれば、10才以上若く見える人もいる。
その年齢差にもっとも影響するのが身体が焦げる糖化です。
糖化は見た目だけではなく、身体の中、血管や骨、脳までも老化させます。
糖化の1番の原因は毎日の食生活です。
なるだけ朝食を摂るようにする。
早食いや食べ過ぎなど血糖値の急上昇をひんぱんにくりかえすような食べ方をしないでゆっくりとよく噛んで食べる。
糖質の多い食べ物だけを食べない。
野菜、肉や魚などのたんぱく質、脂質をバランスよく食べるようにする。
野菜を食べてから、肉や魚にいき、そしてご飯という食べる順番に気をつける。
揚げ物などを食べる時はレモン汁をかけるなどのちょっとした工夫をする。
スクワットやウォーキングなど適度な運動をする。
ストレスを溜めない。
1日7時間はぐっすり眠る。
三日坊主にならない工夫を
しかし、これらのことをあまり真面目にやろうとすると、それがストレスになり長続きしません。
糖化とは体内でたんぱく質と余分なブドウ糖が結びつAGEを発生させることです。
余分なブドウ糖というところがポイントです。
要は余分なブドウ糖をどうするかということ。余分にブドウ糖をつくらないのか、それとも溜めずに燃やしてしまうのか。
そうであれば、ちょっとして工夫で糖化はかなり防ぐことができるといえます。
糖質の多い麺類やスイーツなどを食べた時には普段より一駅手前で降りてすこし長い距離を歩く。改まって運動をしなければと考えると腰が重くなります。
食事の前には市販の野菜ジュースを飲む。食事のたびにサラダや煮物、和え物を用意するより楽です。
食事の時は緑茶を飲む。一杯のお茶を楽しみながら食後を楽しむ。
このような自分にあった無理のないやり方を習慣にして長く続けることが身体の老化を防ぎいつまでも若々しくいるために大切なことではないでしょうか。