子供の成績を上げたかったら食事を変えましょう
アメリカで驚きの実験結果が……
1979年、アメリカのニューヨーク市学区で4年間をかけて学校の食事について大規模な実験が行なわれました。
実験の目的は食べ物が及ぼす子供への影響を確かめるためです。
1つは食事に飽和脂肪と砂糖が含まれすぎている食事の影響。
もう1つは食品添加物の影響。
それまで、栄養学者たちは、食事の内容が脳に影響を与え、行動や学習能力をも左右すると主張していました。
それが本当なのかを、実際に確かめてみようじゃないかということです。
1年目の1979年
飽和脂肪と砂糖がカットされました。
ハンバーガーに使う肉からは脂肪の部分を取り除き、パンは食物繊維が豊富な無精製の小麦全粒紛でつくりました。
また、食品に含まれる砂糖の割合は11%を上限としました。
それまでは、ケチャップには29%、アイスクリームには20%、コーン・フレークなどのシリアル類には50%も砂糖をふくんでいました。
この実験を始める前のニューヨーク市学区の標準学力テストの平均点は39点で、全国平均を11点下回っていました。
実験をはじめた1979年の学力テストの平均点が、いきなり8点も上がって47点になりました。
通常、こうした学力テストの学区平均というのは急には上がり下がりしないものです。
何年かして2,3点あがれば上出来と思っていましたから、関係者はこの結果に驚きました。
まさか、食べ物を変えただけでこんなに点数が動くとは予想もしていなかったようです。
2年目の1980年
さらに着色料や合成甘味料を添加している食品も除外しました。
すると成績はさらに上がり51点になりました。
3年目の1981年
何かを除外することはせずに、1980年と同じ食事のままにしました。
変えずにいたらどう変化するかを確認しようということです。
結果、学力テストの平均点は横ばいのままでした。
4年目の1982年
BHAやBHTなどの保存料の入っている食品が除かれました。
すると成績は上がって、平均点が55点になりました。
食事を変える前と比べて16点も上がっています。
実に41%もの上昇です。
この結果から見えたことは
この結果を報告したアレキサンダー・シュラスは、こう言っています。
「この4年間に、ニューヨーク市学区は教師の給料を上げたわけでもなく、教師一人当たりの学童数を減らしたわけでも、カリキュラムを変えたわけでもありません」
「変わったのは食事だけです」
信じがたいことですが、食事の力だけで学力試験のスコアを16点も押し上げたといわざるをえません。
それを裏付けるデータもあります。
実験前は、学校のカフェテリアでよく食事をする子どものほうが成績が悪かったのですが、実験後は逆転したそうです。
いまでは、カフェテリアで一番たくさん食べる子どもがトップ・グループになり、弁当をもってきている子どもより平均で11点スコアが高いのです。
これは、悪い食事を良い食事に変えたわけではありません。
悪い食事の悪い部分を取り除いたにすぎないのです。
まとめ
学習能力にこれだけの変化があれば、その他の行動の変化も起きていると思われます。
いじめなどの暴力行為が減ったり、落ち着きがでていわゆるキレるということも減ってくると考えられます。
これをみると、大人にも食事の影響は大きいといっていいでしょう。
試験の成績のように客観的にみる尺度がないだけで、悪い食事が心身の健康のレベルを低下させることは充分に考えられます。
何年か後には、やがて疾病につながっていくのではないでしょうか
美味礼讃を著したフランスの美食家ブリア-サヴァランは、こう言っています。
「あなたがいままで食べてきたものを教えてくれれば、あなたがどんな人物かがわかる」と。
引用参考文献 「何を食べるべきか」丸元淑生 講談社+α文庫 1991年1月20日