食事がおいしくないと感じるのは亜鉛が足りていないから?
軽いうつ病の症状や手のしびれも亜鉛不足が関係している
「健康カプセル!ゲンキの時間」で紹介された亜鉛欠乏の症状とその原因とは?
亜鉛などのミネラルとは?
亜鉛などのミネラルは人間が生きるために必要な5大栄養素の1つです。
五大栄養素
- 炭水化物
- 脂質
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
ミネラルは、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を助ける働きをします。
体にとって大切な栄養ですが、ミネラルは体の中で作ることができません。
食べ物から摂り入れる必要があります。
亜鉛と酵素の関係
体の中には2000種類以上の酵素があります。
酵素は取り入れた栄養素を消化吸収し、体内のそれぞれの場所でそれぞれ必要な役割をするように働きかけます。
亜鉛は300種類の酵素の材料となり、細胞の新陳代謝を助けています。
したがって、肌や毛髪はもちろん、内臓や骨、筋肉、脳にいたるまで全身の健康を保っているというわけです。
また性ホルモンとも密接な関係があり、男性ホルモンや女性ホルモンの材料となり、分泌をうながしています。
その亜鉛が不足するとどのような症状があらわれるのか?
ミネラル(亜鉛)不足が原因でおこった2つの症例を紹介します。
(提供:順天堂大学医学部総合診療科主任教授 医学博士 内藤俊夫)
60代女性の症例
【症状】
徐々に体重が減っていった。
原因が思い当たらない。
ひょっとして、ガンなどの思い病気かもと不安になり、複数の病院に行くが異常なしと診断される。
そういわれても、体重はどんどん減っていく。
そこで出会ったのが、順天堂大学の内藤先生。
内藤先生は診察の中で女性が言った一言に注目しました。
「食事が楽しくない」
これは、亜鉛が不足しているのではと、検査をすると普通60㎍位ある亜鉛の数値が20㎍しかありませんでした。
診断名は低亜鉛血症。
低亜鉛血症とは?
低亜鉛血症の典型的な症状が味覚障害です。
舌には味を感じとる味蕾というセンサーがあります。
この味蕾は細胞代謝の周期が短いので、多くの亜鉛を必要とします。
したがって、亜鉛が欠乏すると細胞代謝が出来ないので、新しい細胞に生まれ変わることができなく、古いセンサーの感度が落ちてしまいます。
その結果、味覚障害になってしますわけです。
食事をしても、おいしくないので知らず知らずの内に食事の量が減っていったことが体重減少の原因だったということです。
無自覚の食欲減退。
これぐらいの症状はなかなか気付かないので、かかっている人は結構多いと考えられます。
味覚障害は重症になると、何を食べても砂や粘土を食べているような感覚になってしまします。
低亜鉛血症の原因は?
1番の原因は年齢です。
年を重ねるごとに、総体的に食事の量が減ってきます。
食事の量が少なくなれば、腸管から亜鉛の吸収も落ちてしまう事になります。
亜鉛が不足して味覚障害になるという悪循環に陥るわけです。
味覚障害になると、さらに亜鉛を減少させる食事を摂るようになります。
インスタント食品を多く食べるようになる
食べてもちっともおいしくないので、だんだん料理をするのが億劫になってきます。
そうなるとインスタント食品を頻繁に食べるようになってしまいます。
インスタント食品には亜鉛の吸収を阻害するポリリン酸などの添加物を含むものがあります。
これらのインスタント食品を多く摂りすぎると、もともと不足ぎみだった亜鉛の量がさらに減少することになってしまいます。
50代男性の場合
【症状】
突然、手がしびれるようになる。
精神的にうつの状態になる。
診断の結果、極端な食事制限が原因だった。
以前、健康診断を受けたときコレステロールの数値が高かったので、肉や卵などの動物性の食品を食べないようにしたことが症状の原因。
肉や卵などの動物性食品は亜鉛を多く含んでいます。
タンパク質は亜鉛の吸収を高める働きがあるので、極端な食事制限は亜鉛欠乏になってしまいます。
また、亜鉛はホルモンの生成にも影響しているので、亜鉛欠乏でホルモン分泌が悪くなると精神症状にも影響してきます。
そのため、この男性は軽いうつの状態になってしまったということです。
食事制限のダイエットに注意!
過激な食事制限のダイエット法などは、このようなケースになる事があるので注意が必要です。
間違っても、ミネラルを摂らずにいれば痩せることができるんだとは思わないでください。
病気でやせても、全然美しくないですから。
まとめ
- 貧血気味
- 脱毛
- 足がつりやすい
- 疲れやすい
これらの1つでも当てはまるようならミネラルが不足している可能性があります。
貧血は鉄分や銅などの不足でおきます。
脱毛や肌荒れは亜鉛などの不足が原因です。
足がつりやすいのはカルシウムやマグネシウムなどの不足が影響しています。
最後に、疲れやすいのにはいろんなミネラルが関わっています。
毎日の食事を見直すことが大事になります。
大切なことは、バランスのとれた食事をするということです。
いろんな食材を好き嫌いなく食べましょう。
ミネラルを始め、必要な栄養を過不足なくとることがいつまでも若々しく健康でいるための1番の方法です。
なお、食事内容を改善しても、症状が良くならない場合は別に原因があると考えられます。
その時は、お医者さんに診察してもらいましょう。